映画「メゾン・ド・ヒミコ」について。
ゲイの老人ホームを舞台に、きれい事に納めず、ヒリヒリと伝わってくるせつなさと、暖かさに溢れた、いい映画だった。
語りたいポイントはたくさんあるが、老人達を演じた有名、無名の人たちのたたずまい、彼等の心情に寄り添う細野晴臣の控えめな音楽の美しさ、そしてなにより二人の主役の存在のなんと心地良いことか。
コクトーや三島の世界の住人を彷彿するオダギリジョー、いつも不機嫌顔の柴崎コウが、ふと見せる神々しいまでの笑顔の美しさ、掛け値なしに日本映画にとっての素晴らしい収穫であると思う。