ベルリン陥落 1945

ベルリン陥落 1945

ベルリン陥落、ナチス崩壊の時を詳細に描写した一冊。第二次大戦の本質が凝縮されている瞬間。
ベルリンに迫る黄昏。住民の女性を幼児から老婆まで収容所から解放したロシア人女性さえもレイプする赤軍。その数200万人。脱走兵を木に吊るすことに勤しむ憲兵。大きすぎるヘルメットをかぶって泣きながら戦う15歳の少年兵。赤軍が迫る防空壕の中で終わることの無い権力争い。廃人と化した独裁者の命令を忠実に実行し続ける狂信者。信じがたい描写が続く。そこでは「理性」という言葉は粉々に砕かれてしまっていた。60年前のヨーロッパ。今と言う時間が束の間の幸福な時に思えてくる。再び繰り返さない保証はどこにもない。